あらゆる職種の中でも人気が低く、労働生産性が低いのが「営業」でした。しかし、そんな時代は終わりを迎えようとしています。成長著しい最先端企業は、「できる営業」に多額の報酬を払い、企業の成長エンジンに「営業」を据えています。では、どのように「できる営業」へと生まれ変わればいいのでしょうか?『NEW SALES』では、これまでの古い営業から脱却し、新しい営業「NEW SALES」に進化する方法を紹介しています。本連載では『NEW SALES』のエッセンスを紹介。「NEW SALES」を実践すればあっという間に「売れる営業」に生まれ変わります。

営業,麻野耕司,NEW SALES,CRM,SFA,MA,営業職,セールス,ニューセールス,プロダクト営業,ソリューション営業,THE MODEL,売り込みPhoto:AdobeStock

一つの質問が営業担当者のレベルを見抜く!

 私が営業担当者のレベルを見極めるために有効だと考えている、ある質問があります。それが、次のようなものです。

「あなたの営業プロセスを教えてください」

 この質問に対して、いまいち成果の出ない営業担当者は多くの場合、上の質問に対して次のように答えます。

「会社紹介から始まって、顧客の課題をヒアリングし、自分たちの商品やサービスを提案し、そしてクロージングに進みます」

 営業のプロセスそのものは、この通りで間違いではありません。しかし、このアクションはすべて、営業担当者が「自分軸」で語ったもの。「自社視点」での営業プロセスです。これでは、これからの時代は通用しません。成果を出している営業担当者は多くの場合、次のように回答します。

「顧客の方針に沿って情報提供をした上で、顧客が解決すべき課題を伝えます。その上で、他社の商品・サービスと比較した場合の自社の商品・サービスの価値を伝え、最終的には顧客の稟議を支援します」

 これらのアクションは、すべて顧客の購買プロセスを意識したものです。

 顧客は何かしらの商品・サービスを買う際に、自社の方針に沿って情報収集し、自社の解決すべき課題を設定します。そして、課題を解決するための複数の施策を比較検討し、特定の商品・サービスを買う必要があれば稟議に進みます。

 優れた営業担当者は、こうした顧客の「情報収集→課題設定→比較検討→意思決定」という購買プロセスを踏まえて、それに寄り添うような形で「情報提供→課題訴求→比較訴求→決定支援」という営業プロセスを進めていきます。

つまり、「顧客視点」での営業プロセスを進めているのです。

営業,麻野耕司,NEW SALES,CRM,SFA,MA,営業職,セールス,ニューセールス,プロダクト営業,ソリューション営業,THE MODEL,売り込み

 これまでの「OLD SALES」では、営業担当者が自分たちの都合で締日の間近に商品やサービスを押し込んだり、購買のお願いをしたりすることが通用することもありました。

 しかし現在ではもう、そのようなプロセスで、成果を出すことは難しくなってきています。昭和の時代の緊密な人間関係をベースに、「お願いします」「困っていまして……」と顧客に泣きついても通用しません。

 これからの時代に大切なのは、顧客の意思決定のプロセスに並走することです。適切なタイミングで、適切なアプローチを重ねて、購買へつなげることが大切になります。「自社の都合」ではなく、「顧客視点」で営業活動を進めていかなくてはなりません。そのためには、「営業プロセス」に関する考え方そのものを変える必要があります。