あらゆる職種の中でも人気が低く、労働生産性が低いのが「営業」でした。しかし、そんな時代は終わりを迎えようとしています。成長著しい最先端企業は、「できる営業」に多額の報酬を払い、企業の成長エンジンに「営業」を据えています。では、どのように「できる営業」へと生まれ変わればいいのでしょうか?『NEW SALES』では、これまでの古い営業から脱却し、新しい営業「NEW SALES」に進化する方法を紹介しています。本連載では『NEW SALES』のエッセンスを紹介。「NEW SALES」を実践すればあっという間に「売れる営業」に生まれ変わります。
営業力が試されるたった1つのフレーズ
かつて、営業という仕事の主な役割は商品・サービスの機能や性能の説明でした。しかし、その役割は大きく変わろうとしています。
インターネットが発達し、ほとんどの商品・サービスの情報をWebページで知ることができるようになりました。そんな中で、単に商品・サービスの紹介をするだけの営業担当者はもう、いらなくなっています。
今、営業の世界で最も大切な役割は、顧客に課題解決の道筋を示すことです。
顧客が実現したいと思う理想を明らかにして、理想と現状の差分としての課題を特定し、商品・サービスを用いてどのように課題を解決していくか。理想→課題→価値→方法といったストーリーを提示することがとても重要になっています。
例えるなら、顧客にとって営業担当者は医師のような存在です。医師は患者がどのような生活を望んでいるかを知り、それを阻害する症例を特定し、薬の処方箋を出します。
ここで大切なことは、医師は決して患者の言うがままに薬を処方するのではない、ということです。患者の言うことを聞くのではなく、患者が健康になるために必要な処方箋を出すのです。ときに患者が薬の処方を求めたとしても、「あなたに必要なのは薬ではなく、生活習慣を変えることです」と断ることもあるでしょう。
同じように、これからの営業担当者は、顧客に言われるがままに商品やサービスを売るだけでは信頼されません。
本当の意味で顧客志向の営業というのは、仮に顧客が自分たちの扱う商品やサービスの買いたいと言ったとしても、もしそれが顧客にとって不要だと感じたなら、「あなたに今必要なのは弊社の商品・サービスではありません」と断ることでもあります。
「今のあなたに必要なのは、弊社の商品・サービスではありません」
もし、あなたが顧客に対してこうした言葉を発したことがないなら、それはあなたが、本当の意味で顧客の課題解決に向けた道筋を示すような営業活動をできていないのかもしれません。
これまでに、「売らない営業」をしたことがあるか。それが、営業担当者のレベルを推し量る、重要なポイントになっているのです。
果たしてあなたは、「売らない営業」を実践したことはありますか?