株を始めるのはとても簡単。スマホだけで口座開設から注文までできるし、今どきは1株、数百円で買うことも可能です。でも、株で成功するためには、本当に必要な基礎知識だけはきっちりマスターすること!『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門改訂第3版』から、「会社の業績データの見方」を一部抜粋・編集してお届けします。

本当に良い会社を見極めるにはPhoto: Adobe Stock

会社の売上や利益が順調に伸びているかをチェックする!

「この事業は面白そう、この会社は伸びそう」と思ったら、業績を確認しましょう。事業内容が面白そうで、数字的にも好調さが裏付けられれば、その会社は本当に良い会社である可能性が高い、といえます。

 業績はその会社のホームページでも見ることができますし、証券会社のホームページで銘柄検索して、確認することもできます。

 業績データは、年度ごとの業績の推移で、3~7年分くらいのデータが並べられています。過去の実績と、今期の予想値などになります。ちなみに、「22・3」とあるのは2022年3月期のことで、22年3月に終わる1年間、つまり21年4月~22年3月までを指します。まだ決まっていないデータには「予」とついています。

 また、年度の頭に「連」や「単」などの文字がついていることがあります。「連」は連結決算のことで、子会社などグループ企業の業績を加えた決算のことです。一方、「単」は単体決算で、その会社のみの決算のこと。現在は子会社が親会社の一部門のような働きをすることが多く、連結決算の方が実態を表すものと考えられ、株式投資では単体ではなくて連結の数字を見て判断します。ただし、子会社などがない場合は単体決算しかありませんから、単体決算を見ます。

3種類の利益と1株益を理解しよう

 そして、各年度について、売上高、営業利益、経常利益、純利益……などのデータが書かれています。それぞれの意味を解説します。

 売上高は会社が商品やサービスを売って得た収入の合計金額です。

業績データで本当に良い会社かどうかがわかる!過去から未来への連続性を見るのがキモ

 営業利益は、本業から得られた利益です。売上高から本業にかかった経費を差し引いて計算します。

 経常利益は、本業を含めて普段行っている活動から得られた利益です。営業利益に、本業以外で普段行っている活動の損益を加減して計算します。本業以外に行っている活動とは、たとえば、お金を借りたり預金したりというような財務活動などです。

 純利益とは税引き後利益のことであり、当期純利益とか単に利益ともいいます。経常利益から特別損益(一時的な利益や損失)を加減し、さらに、税金を差し引いて残った利益のことです。これは株主のものであり、本来はすべて配当してもらうべきお金です。

 この税引き後利益を発行済み株式数で割れば、1株あたりの税引き後利益が出ます。これを「1株益」といいますが、じつはこの1株益は今の株価が割安かどうかを考える上で重要なモノサシになる数字なのです。

 1株配は、1株あたりの配当の額です。1株配が10円の場合、1株持っていれば10円が、100株持っていれば1000円が受け取れるということです。

売上高と経常利益の流れを見よう!

 業績データの見方を説明しましたが、大切なことは、売上高や経常利益(または営業利益)の流れ(トレンド)がいいかどうかです。売上高と経常利益(または営業利益)がともに安定しているか、上昇傾向にあるなら、良い会社である可能性は高まります。

 システムインテグレーターのオービックを例に説明します。オービックの場合、21年3月期から23年3月期までの3年間の推移を見ると、売上高838億円→900億円→970億円、経常利益は526億円→590億円→630億円と順調に伸びています。新型コロナの影響で、産業界ではデジタルトランスフォーメーション(DX)投資が一気に広がりました。その恩恵を受けたのが同社です。クラウドサービスなど今後も需要が高まる中で、同社の業績も一段と拡大している様子が数字からもうかがえます。

 より詳しい情報や最新の情報を知りたい場合は、会社のホームページで、「決算短信」などの決算情報をチェックするようにしましょう。読み方のコツさえわかれば、それほど難しい資料ではありません。