コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はすかいらーくホールディングス、サイゼリヤなどの「ファミリーレストラン/カフェ」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
一見すると4社とも好調だが
「コロナ前比」で分かれる明暗
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のファミリーレストラン/カフェ業界4社だ。
対象期間は2021年12月~22年3月の直近四半期(サイゼリヤ、コメダホールディングスは21年12月~22年2月期、その他2社は22年1~3月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・すかいらーくホールディングス
増収率:3.6%(四半期の売上収益671億円)
・サイゼリヤ
増収率:17.2%(四半期の売上高353億円)
・ロイヤルホールディングス
増収率:15.4%(四半期の売上高221億円)
・コメダホールディングス
増収率:14.1%(四半期の売上収益87億円)
ファミリーレストラン/カフェ業界の4社はいずれも前年同期比で増収となった。しかもサイゼリヤ、ロイヤルホールディングス、コメダホールディングスの3社は2桁増収を達成している。
だが今回の比較対象期間は、すでに新型コロナウイルス感染拡大の影響があった20~21年の実績だ。各社の売り上げを「コロナ前」と比べると、コロナ禍からの回復状況に大きな差があることが分かる。
特にロイヤルホールディングスの売上高の落ち込みはいまだに激しい。かつての武器だった多角経営の「落とし穴」にはまってしまったまま、抜け出せていない実態が浮き彫りとなった。
次ページではその実態について、時系列データを踏まえて詳しく解説する。