出井氏は若い世代の経営者に
「イノベーションに取り組む姿勢」を残してくれた
出井さんはソニーを離れた後、イノベーションを推進するベンチャーを後押しすることを生涯の仕事として取り組んでこられました。
今回の訃報を耳にした多くの若い経営者が、出井さんの思い出を感慨深く語っています。その様子を見ると、出井さんがビジネスの世界に残してくれた一番の記憶は、「イノベーションに取り組む姿勢」なのではないかと改めて感じるのです。
イノベーションに関わる人間は多かれ少なかれ、「他人にわかってもらえない」という経験を何度も何度も繰り返し体験します。上司、仲間、出資者、銀行、誰もわかってはくれない中で、出井さんだけは違うような気がする。
いろいろな人にそう感じさせるのは、ひょっとすると出井さんは同じ苦労をしながらたくさんの「イノベーションを理解する技術」を身に付けてきたからだったのではないかと、今あらためて思うのです。
ささやかな接点しかありませんでしたが、本当に素晴らしい人だったと思います。出井さんに感謝いたします。
(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)