村田製作所が「円安で380億円増益」、円安メリットを享受できた2つの理由Photo:PIXTA

目下、企業の業績に大きな影響を与えているのが歴史的な「円安」だ。「円安は日本経済にとってプラス」という見方も根強いが、実際のところ各企業はどのような影響を受けているのか。特集『会計サミット2022』の#1では、はごろもフーズ、村田製作所の2社の21年度決算から円安が与えた影響を読み解く。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)

急速に進んだ円安は
企業の業績にどう影響したか

 足元での円安傾向が続いている。2021年1月には1ドル=104円前後だった為替レートが、22年3月末には120円を超え、22年6月には一時135円台まで下落した。

 円安といえば輸出型企業の業績には追い風といわれるが、今回の円安は企業の業績にどのような影響を与えたのだろうか。

 ここでは、食品メーカーのはごろもフーズと電子部品メーカーの村田製作所の決算書を取り上げて、直近の円安傾向が22年3月期の業績にどのような影響を与えたのかを読み解いていこう。具体的には、まず各社の貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の概略を押さえた上で、円安の影響について探っていく。

 上図は、はごろもフーズのB/SとP/Lを図解したものだ。

 まずはB/Sから見ていこう。B/Sの左側(資産サイド)で最大の金額を占めているのは、流動資産(約356億円)である。この流動資産には、受取手形及び売掛金が約184億円、棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)が約115億円含まれている。これらはいずれも会社が営業を行う上で必要な資産だ。

 また、有形固定資産には主に缶詰やパスタを製造する設備などが約153億円計上されている。投資その他の資産(約99億円)には投資有価証券が約88億円含まれているが、これは主に取引先の株式などのいわゆる政策保有株式である。