村田製作所世界最大の受動部品メーカーである村田製作所。さらなる飛躍のためには何が必要なのか Photo:Bloomberg/gettyimages

村田製作所は世界最大の受動部品メーカーだ。半導体製造装置の一種であるコーター・デベロッパー世界1位の東京エレクトロンと並び、世界に冠たる日系ハイテク企業の雄である。この両雄の株価に異変が起きている。2020年3月の新型コロナウイルスによる年初来安値(ボトム)を付けて以降、東京エレクトロンの株価は急上昇し、村田製作所の株価はボトムアウトしたものの東京エレクトロンほどの上昇はしておらず、両社にはかつてないほどの時価総額格差がついている。両雄の明暗を分けた要因は何だったのか――。これを機に、村田製作所の課題を探った。(大和証券チーフアナリスト 佐渡拓実)

利益水準と利益率、成長率もピカイチ

 村田製作所の20年3月期売上高は1兆5340億円。同営業利益は2532億円(一過性の減損など除くと2731億円)と、日系電子部品メーカーの中で営業利益額は圧倒的な首位であり、営業利益率も17%(同18%)と高い。誰もが認める超優良企業だ。

 それだけではない。同社の売上高の4割弱を占める主力のセラミックコンデンサ世界シェアは約40%と首位。その他、SAWフィルタと呼ばれる無線周波数を選別する部品やコイル、これらを組み合わせたモジュール製品なども手掛ける。

 村田製作所の優秀さは今に始まったことではない。次ページ図表1は電子部品メーカー大手17社の営業利益のリーマンショック前のピークと、リーマンショック後のピークを比べて年率換算の成長率を算出した表である。