コロナ禍のリモートワークなど生活スタイルの変化により注目されたのが、資産形成に対する関心が高まったこと。特に、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISAの口座開設が急増した。そんな状況の中、つみたてNISA本の決定版ともいえる『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)が3月16日に発売。本連載では、つみたてNISAを利用して長期投資や資産形成をしてみたいという人に向けて、失敗しないつみたてNISAの賢い選び方・買い方について、同書から抜粋して公開中。今回からは、2回にわたって著者の中野晴啓氏と農林中金バリューインベストメンツ常務取締役の奥野一成氏の特別対談をお届けする。
愚直に長期投資の良さを説いているからこそ、
受益者が付いてきてくださる(中野)
中野晴啓(以下、中野) 奥野さんに初めて会ったのは、セゾン投信が立ち上がって間もない2009年のことでしたね。
奥野一成(以下、奥野) そうです。私がセゾン投信にお邪魔して初めて中野さんとお目にかかり、長期投資の理想についていろいろ話した記憶があります。
中野 セゾン投信も立ち上がって間もない時で資金が集まらずに苦労していたのですが、思わず同志に会った気持ちになり、嬉しかったです。奥野さんは、その後、農林中金バリューインベストメンツを立ち上げ、日本でも有名なファンドマネジャーになりましたね。
奥野 いや、ラッキーだったこともあります。私が2003年に入社した農林中央金庫は非常にフラットな組織で、良い投資をサポートしたいという気運が強かったのです。これが他のメガバンクだったら、なかなか苦労したと思います。
中野 でも、農林中金のような大金融資本に属していながら、一貫して本物の長期投資を続けていらっしゃるのは、奇跡に近いことだと思います。
奥野 それは中野さんも同じじゃないですか。結局、時代が長期投資を求めていたのだと思います。確かにボールを蹴り出したのは私たちかも知れませんが、蹴ったボールが転がり続けるかどうかは、ひとえに私たちのファンドを保有してくださっている、大勢の受益者がいるからです。
中野 愚直に長期投資の良さ、社会的意義を説いているからこそ、大勢の受益者がついてきてくださるのでしょうね。