コロナ禍のリモートワークなど生活スタイルの変化により注目されたのが、資産形成に対する関心が高まったこと。特に、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISAの口座開設が急増した。そんな状況の中、つみたてNISA本の決定版ともいえる『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)が3月16日に発売。本連載では、つみたてNISAを利用して長期投資や資産形成をしてみたいという人に向けて、失敗しないつみたてNISAの賢い選び方・買い方について、同書から抜粋して公開する。「つみたてNISAってなに?」という投資ビギナーの人でも大丈夫。基本的なところからわかりやすくお伝えしていくので、ぜひ、お付き合いください。
選択基準④為替ヘッジなしのもの
全世界へ投資するのであれば、為替の問題がつきまといます。世界の経済成長をきちんと受け取るのであれば、為替ヘッジが「なし」のものを選びましょう。
ちなみに為替ヘッジを行う場合は、「ヘッジコスト」といって、内外金利差分がコストとしてかかってきます。為替ヘッジ付きは、余計なコストがかかるという点でも不利になるのです。
選択基準⑤純資産残高が50億円以上のもの
投資信託には「繰上償還」という制度があります。これは信託期間が満了する前、あるいは信託期間無期限であるにもかかわらず、ある日、投信運用会社の都合で勝手に運用を中止してしまうことです。
繰上償還されるかどうかの判断基準のひとつは、受益権口数(受益者が保有する口数)で30億口を下回っているかどうかです。1口=1円で計算すると、30億円程度の純資産総額だと繰上償還リスクが高まると考えられます。
ということは、現時点において純資産残高が30億円、もしくはそれを割っているような投資信託は選ばないほうが無難です。
とはいっても、いきなり繰上償還されるわけではありません。これは投資家にとってすごく迷惑なことなので、投信運用会社も事前にホームページなどに「公告」を出して、間もなく繰上償還が行われるというお知らせをします。大体、繰上償還日の1ヵ月くらい前にこの手の公告が出されます。
繰上償還になると、その時点でそのファンドによる運用はストップします。償還ですから、資金も戻ってきてしまいます。つみたてNISAの場合で言えば、非課税枠の再利用ができないので繰上償還された分は、もはや過去に遡って非課税の適用を受けることができません。
これは実に不便ですし、利用者にとっては非課税メリットが低減してしまいます。
したがって、繰上償還リスクが低いと思われる投資信託を選ぶ必要があります。それを考えると、最低でも純資産残高が50億円程度ある投資信託から選んだほうが無難です。
投資信託は常に資金が流入し続けるのではなく、解約に伴う資金流出も生じるからです。ちなみに「つみたてNISA」のアクティブファンドは、50億円以上という条件をクリアしています。