コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は東京エレクトロン、ルネサスエレクトロニクスなどの「半導体関連」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
ルネサスが前年同期比7割増も
レーザーテックは1.5割減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の半導体関連業界5社。対象期間は22年1~3月の四半期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・東京エレクトロン
増収率:28.6%(四半期の売上高5648億円)
・ルネサスエレクトロニクス
増収率:70.2%(四半期の売上収益3467億円)
・アドバンテスト
増収率:28.9%(四半期の売上高1168億円)
・レーザーテック
増収率:マイナス15.6%(四半期の売上高166億円)
・ディスコ
増収率:33.1%(四半期の売上高735億円)
※東京エレクトロン、ディスコは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。
5社中4社が、前年同期比で2桁の増収を記録していて、特にルネサスエレクトロニクスは、7割の大幅増収となった。一方、レーザーテックが唯一1割を超える減収だった。
世界的な半導体不足が続き、半導体関連メーカーには追い風が吹いているが、レーザーテックの増収率が落ちた要因とは何か。
次ページ以降では、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、ルネサスエレクトロニクスとレーザーテックの増収率の「明暗」を生んだ「特殊事情」について解説する。