Photo by Yasuo Katatae
東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)が6月24日に開いた株主総会で、異例の事態が起きていた。会社提案の定款変更議案が賛成率67.75%と、可決ラインをわずか約1.08ポイント上回る異例の「超薄氷可決」となったのだ。仮に否決されていれば、同社が5月8日の取締役会で決議した株式分割が中止に追い込まれる事態に陥っていた。なぜ東京きらぼしFGの議案は、株主の離反を招いたのか。長期連載『金融インサイド』の本稿では、東京きらぼしFGや専門家への取材を基に、反対票が集中した要因と、不用意な議案設計がアクティビストの影響力を一段と強めかねない理由を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
株式分割が中止寸前となる異例の事態
公的資金完済後に株主が反旗を翻した理由
「約1ポイント差の可決というのは、会社提案による定款変更議案としては絶対に渡ってはいけない橋だ」
ある市場関係者は、東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)が今年の株主総会で諮った定款変更を、そう総括する。
東京きらぼしFGが6月24日に開いた定時株主総会では、第1号議案「定款一部変更の件」が賛成率67.75%で可決された。定款変更に必要な賛成率は3分の2以上。可決ラインの約66.67%を上回ったのは、わずか約1.08ポイントで、まさに「超薄氷」の可決だった。
この定款変更の大きな柱は二つある。
一つは、優先株式に関する規定の削除だ。第1回第一種優先株式を普通株式に転換・消却し、第二種優先株式も取得・消却したことに伴い、不要となった条文を整理する形式的な変更である。
もう一つは、7月1日付で普通株式1株を8株に分割するのに伴い、発行可能株式総数を引き上げることだ。
大量の反対票を招いた要因は、後者にあったとみられる。
発行可能株式総数の拡大は、将来の新株発行の余地を広げる。そのため議決権行使助言会社や機関投資家の多くは、増加幅などに厳格な賛否基準を設けている。その数値基準に抵触する内容だったわけだ。
しかも同社株は、地銀再編の「仕掛け人」と称される、ありあけキャピタルが大量保有している。7月28日提出の変更報告書では、7月21日時点の保有比率が7.97%に上昇したことも判明。東京きらぼしFGは関東圏の地銀再編の芽として、今まさに市場の注目を集めているのだ(詳細は『関東地銀再編の大本命「東京きらぼしFG」に、ありあけキャピタルが大量保有で参入!首都圏開拓を狙う“買い手候補”と人気殺到の理由を総点検』を参照)。
公的資金の完済を公表した直後に、株主の反対で株式分割が頓挫していれば、資本政策上の大失態となっていた。会社は定款変更の特別決議を株式分割の条件としており、否決されれば予定通り実施できなかったからだ。
なぜ東京きらぼしFGは株主の離反を招き、公表済みの株式分割が中止寸前まで追い込まれたのか。
次ページでは、議決権行使助言会社と主要機関投資家の議決権行使基準、東京きらぼしFGや専門家への取材を基に、議案のどこに問題があったのかを検証する。併せて、今回の不用意な定款変更が、アクティビストを利することになりかねない理由を明らかにする。







