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かつて「AIに奪われる職業」の筆頭に挙げられ、業界全体に暗雲が垂れ込めた税理士業界。あれから10年余り――。一部の税理士法人は、税務申告や記帳代行だけではなく、コンサルティングやM&A支援業務へ進出。脅威とされたAIの活用によって生まれた余力を活用しているのだ。今ではさらなる業容拡大のために人材を獲得しようと、待遇を改善する法人が続出している。特集『税理士リバイバル!』の#1では、変革の最前線を追うとともに、主要36法人の平均年収ランキングを初公開する。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
AIを武器に生産性を拡大
実はコンサル並みの待遇
「税理士の仕事は、テクノロジーにのみ込まれていく」――。
2013年、英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授らが発表した論文「The Future of Employment(雇用の未来)」は、税理士業界の足元を大きく揺るがした。今後10~20年で消滅する確率が高い職業として「税務申告作成者」「経理・会計・監査の事務員」などが名指しされ、税理士業界に激震が走ったのだ。その影響で、学生や有望な若手人材は成長著しいコンサルティング業界へと流れてしまった。
あれから10年余り。一部の税理士法人は変化を遂げている。吹き荒れた逆風が、「税理士法人は変わらなければならない」という強い危機感を生み出し、変革の原動力となったのだ。従来から税理士が行ってきた、日々の会社資金の流れを代行して記録する記帳代行業務や税務申告書の作成にとどまらず、企業向けのコンサルティングやM&A支援業務へ進出したのだ。
税理士は顧問先企業の財務状況を把握しているだけではなく、経営者の個人資産や将来的な相続問題、さらには親族の状況まで熟知している唯一無二の存在だ。だからこそ、相続対策や事業承継、さらに企業をどう存続・売却するかといったM&Aに至るまで、経営課題の顕在化に合わせて、適切なタイミングでアドバイスができる。
加えて昨今のインフレ下では、利益の増加によって税負担が実質的に増加し、キャッシュフローを圧迫するような事態が起きやすいため、適切な税務ストラテジーが必要だとされる。こうした事業環境は、税理士法人にとって面目躍如たる状況だ。新たな事業領域へ進出する絶好のチャンスといえる。
AI(人工知能)ももはや脅威ではなく、強力な追い風となる。データ入力や定型的な書類作成といった単純作業をAIが代替することで、業務時間は大幅に削減できる。そこで生まれた労力を、需要が拡大しているコンサルティングやM&Aといった高付加価値領域へシフトさせているのだ。
それに伴って、税理士法人で働く人材も大きく変わりつつある。従来は、税理士資格の保有や取得を目指している人材が税理士法人の門をたたくことが圧倒的に多く、また採用する税理士法人もそうした人材を探していた。しかし、業容が拡大している今、採用戦略は一変。税理士法人は、税理士以外の人材の採用を強化している。
一部の税理士法人は新たに獲得した収益を背景に、待遇を大幅に引き上げている。その給与水準は、東証プライム上場企業と比較しても遜色なく、実力と実績が伴えば大手コンサルティングファームの社員に匹敵する年収を稼ぐ社員も現れ始めている。
待遇を上げられる税理士法人は、それだけ優秀な人材を採用でき、他領域へ進出する“武器”を得ることになる。それはAI全盛時代に、生き残るための必須条件の一つだといえるのではないか。
では、税理士法人の正社員の平均年収はどれほどの水準なのか。税理士法人は上場企業と違い、正社員の平均年収は開示されていなかった。本特集では、この10年余りで変貌を遂げた税理士法人の実態を探るべくアンケート調査を実施。次ページで大手36法人の正社員の平均年収をランキング形式で一挙公開する。







