円は通常、経済の悪材料を受けて上昇する通貨だが、現在は米国のインフレ高騰によって打撃を受けている。  円相場は、ドル高と日本の金融緩和政策に挟まれ、2002年以来の安値を付けた。ロシアのウクライナ侵攻、米インフレ率の急上昇、中国経済の減速により世界経済の見通しが悪化する中、ドル相場は上昇。主要16通貨に対するドルの価値を示すドル指数は過去1年で12%超急騰し、この間にドルの対円相場は22%も跳ね上がっている。  ドル相場が幅広く上昇する一方、円相場は大幅に下落している。日本の物価が小幅に上昇しているにもかかわらず、日銀が低金利政策を継続する方針を表明していることが一因だ。