前回は記憶補助として「メモをとる」ことの大切さを説いたが、メモだけでなく、記憶を補助してワーキングメモリを解放する方法は他にも存在する。宇都出雅巳氏の新著『仕事のミスが絶対になくなる頭の使い方』からの一部抜粋で、あなたの記憶を思い出すきっかけを与えてくれる「外部記憶補助」について解説する。
バーテンダーはどうやって
多様なカクテルの注文を覚えるのか
前回はメモの重要性について触れましたが、実はあなたの記憶を補助し、ワーキングメモリを解放するものはメモだけではありません。周りにあるすべてのものが、いわばメモの役目をすることも可能なのです。
たとえば忘れ物の代表である傘。傘は必要に迫られて使うものなので、雨が止んでしまうと注意が向かなくなるので、いとも簡単に忘れてしまいます。
ではどうするか。たとえば出張先のホテルに傘を持ってきて、「このままだと帰りに忘れそうだな」と心配になったら、退出時に必ず目につくドアノブに傘をかけておく。これもひとつの「メモ」なのです。
この傘の例のように、あなたの記憶を思い出すきっかけを与えてくれるものを、認知科学では「外部記憶補助」という言葉で表現します。