今はマンションが高いが…
値下がりする要素は何一つない?

 今が高いといっても、今のところ値下がりする要素は何一つない状況にある。資材価格は上がり、円安になり、ゼネコンの働き方改革で工期は延びている。不動産価格は需給バランスの影響をほとんど受けず、ローンが組めるかどうかで決まる。つまり、金融緩和により借り入れをしやすい状態が続くのであれば、価格は上がるのだ。自宅は今買えるものを買うしかない。買えるものというならば、面積を小さくしてでも買っておかないと、1年後はそれすらも買えなくなると思わないといけない。

 首都圏の平均価格8000万円時代が到来したときには、供給戸数は2.5万戸と今の4分の3ほどに減少すると筆者は見ている。価格と供給戸数には逆相関の関係があり、これらを掛け合わせた市場取引規模は常にほぼ一定だからだ。こうして、新築は21世紀初頭の10万戸近く供給されていた時代の4分の1に減少する。

 新築の供給減少はマンション全体の需給をひっ迫させる。不動産価格は需給の緩和で価格が下がることはあまりないが、ひっ迫では上がりやすい特徴がある。5年後には、今まで以上に価格が高値で安定しやすい状態になると考えたほうがいい。

 個人だけでなく、法人も不動産という資産を持つ時代は既に到来している。会社の代表はインフレ対策、円安対策を考えていることだろうが、その際に不動産の所有は有効な手段だと気づいている人も多い。特に、事業承継の際に株価が高いことが問題になる方は、不動産で株価を下げるしか有効な手段がないことも知っているはずだ。

 また、労働力不足で採用に苦しんでいる企業も多い。そこでも不動産を社宅活用することで雇用を確保している企業がある。社宅であれば市場家賃の2割以下の家賃負担にすることができるし、年収の代わりになる。不動産には、以下の3つの特徴がある。

(1)借り入れがしやすい
(2)市場価値と相続時の価値が大きく異なる
(3)利回りを生む

 そこに資産価値の上昇が付いてくれば、最強のインフレ対策になるというものだ。個人も法人も、待ったなしの状況に当面変わりはないのではないだろうか。