(1)既存のしきたりやレールにとらわれないでいこう

「官僚を目指すな」とか、「大企業志向をやめろ」とか言っているわけではない。結果的にそういう道を歩むのは個人の自由だし、私は日本の官僚や企業人を心から尊敬している。彼ら・彼女らは有能で勤勉だ。

 一方で、結果は目的じゃない。両者は本質的に異なる。「周知」に「自分」を求めてはいけない。他者の人生に自身の人生を重ね合わせる必要はない。周りの人間、周りで起こっている事柄を眺めてから、「私もみんなと同じだ」と安心することを以て、自分がすべきこと、向かうべき場所を思考、判断、決定するやり方は本末転倒という意味だ。己の頭で考えぬき、もがき、苦しみ、可変的な一つの答えにたどり着いてほしい。自分で勝手に限界や枠組みを設けないようにしよう。

 そして、答えへ向かって突き進む過程で見えてくる、自らの可能性を大切にしよう。私は「人生は帰納法じゃない、演繹法だ」と考えてきた。引き出しにモノをしまいこんでいくのではなく、引き出しそのものを創る人生を送ろう。

(2)3つの技能で勝負していこう

 私は特に中国に行ってから「3」という数字にこだわっている。何をするにも3で勝負するようにしている。世界で闘うためのラッキーナンバーだと思っている。

「3つの技能」に関しては、私が2011~2012年にかけて中国全土の大学を講義でまわる過程で、中国の大学生たちにも伝えてきた。2012年夏に開催されたロンドン五輪前夜、ジャーナリズム学部の学生たちにこう言った。

「君の英語によるコミュニケーションが流暢で(1)、スポーツに精通していて(2)、取材記事を書くことに長けている(3)としよう。いますぐロンドンへ行って、五輪を取材して、記事を書きなさい」

 人間はそんなにたくさんのことを同時にこなせる生き物じゃない。あれもこれもと手を付けて、それらをモノにできる才能を持った人間は限られている(ここで言う才能とは、“努力できる才能”を指す)。

 グローバル化していく、混沌とした世の中で勝負していくためには、「2」では少なすぎ、「4」では多すぎる。だから、3つの技能を戦略的に取得し、有機的に結合させることを以て、勝負するための軸としてほしい。これからは「技能社会」の時代。「学歴社会」でも「会社社会」でもない。

孤独が人を成長させる

(3)肉体を鍛えよう

 単刀直入に言おう。人間最後は体力だ。体力こそがモノを言う。精神力も体力からしか生まれない。蓄積された体力によって生まれる精神力は、やがて体力に還元されていく。だから私は、体力のことを「心の筋肉」と呼んでいる。