就職先を探すにしても、本屋で関連書籍を立ち読みしたり、お決まりの就職説明会に参加したりするよりも、自分がこれまで触れ合う機会のなかった世界に飛び込んで、実践を通じて“己の適性を相対化してみる”のもいい。

 私がイメージするのは、スコップすら持ったことがない東大生が工事現場で一日15時間アルバイトをしたり、都心で育ち、外の世界のことを全く知らない学生がバングラデシュの農村に一定期間住みこんだりという情景だ。

 これまで、北京大学や復旦大学など中国の一流大学の学生たちにも「優秀すぎる君たちに必要なのは、論理的で整合性の取れた議論なんかじゃない。マックでひたすらバイトをすることだ。異なる価値観を持ったお客様と触れ合い、体力をつけ、そこから付加価値を創出していく力だ」と繰り返し主張してきた。

(7)自己管理能力を養おう

 すべては自己管理に始まり、自己管理に終わる。自己管理なくして、人生という名のマラソンを走破することはできない。私は10年前に日本を出てから風邪を引いていない。ロケ中に調子に乗ってけがをしたり、過労で数時間動けなくなったりしたことはあったが、寝込むような風邪は決して引かない。

 外から帰ってきたら必ずうがい手洗いをする、休養・栄養・鍛錬のバランスを考えながら過ごす、免疫力が落ちないように常に適度な緊張感を持って過ごすなど、予防法はいくらでもある。

 幼少時代、亡くなった父からよく「風邪なんか引くのは気合が足りないからだ」と言われた。私は父の言葉を信じている。

「風邪を引いた時のための保険」よりも、「風邪を引かないための準備」に資源を投入する。後者に関しては、金銭的コストは限りなくゼロに近い。若い皆さんには大いに遊んでほしいが、その過程で自己管理法(自分マネージメント)を打ち立ててほしい。

 これは誰も教えてくれない。教えてもらって理解できるような程度のことを学習と呼ばない。答えのない闇に向かって、孤独と闘い、己と葛藤し続けるプロセスを学習と言うのだ。

(8)当事者意識を持って生きよう

 時々一時帰国して電車に乗ると、若い人たちが「あの政治家ダメだよなあ」、「この前のマラソンであいつだめだったなあ」、「あの学者、何馬鹿なこと言っているんだよ」、「最近のドラマつまんないよね、役者は演技下手」などと、他者の文句ばっかり言っていることに気づかされる。

 若者が世の中の傍観者に徹したとき、その社会は衰退していくに違いない。世間で果てしなく繰り広げられる卓上の評論は大人たちに任せておけばいい。いまは漠然と世の中で起きていることを論評する時期じゃない。

「自分が総理大臣だったら」、「自分がアスリートだったら」、「自分が発信者だったら」、「自分が監督だったら」……、当事者意識を持って考え、自分のスタイルで行動に移してみよう。

 昼間の山手線で政治に文句をたれている暇があったら、議員会館に赴いて国会議員に直接アタックしてみよう。終電の東海道線で上司の愚痴を聞くだけの我慢強さがあるなら、気合旅行に出て視野と人脈を広げてみよう。新橋の居酒屋で日常の不満を吐き出し、ダラダラ過ごすくらいなら、早起きして代々木公園を走ってみよう。

 だったら、お前がやれ!!


<加藤嘉一氏の著書>

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