6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)は通常の3倍速の0.75%の利上げに踏み切った。しかし、現状の引き締めペースでは米国のインフレは沈静化しない。その理由を解説する(みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部プリンシパル 小野 亮)
7月に0.75%の利上げでも
米国の物価情勢は悪化継続
6月15日、FOMC(米連邦公開市場委員会)は、リークと思われる直前の報道通り、0.75%の利上げを決定し、FF(フェデラルファンド)金利の誘導レンジは1.5%~1.75%に引き上げられた。
FOMC後の記者会見では、冒頭、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「7月会合では0.5%または0.75%のいずれかの利上げになるだろう」と、3倍速の大幅利上げが続く可能性に言及した。
前回の会合後には「6月、7月も経済情勢が予想通りなら0.5%の利上げ」と述べていたが、期待に反して物価情勢が悪化し続けており、3倍速利上げの継続という選択肢を残さざるを得なかったようだ。
しかし、インフレ抑制に必要な利上げ幅と景気減速の度合いに対するFOMCの認識は甘く、米国の物価情勢はさらに悪化し続けるだろう。
それはなぜか。次ページからその理由をひもといていく。