FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ=ドル高円安と考え、2022年のドル高円安予想の要因として、利上げを挙げる市場参加者は少なくない。しかし、過去を振り返れば利上げ局面は必ずしもドル高円安局面ではない。最近の資金フローなどを見る限り、着目すべきポイントは他にある。(SMBC日興証券 チーフ為替・外債ストラテジスト 野地 慎)
過去の利上げ局面では
ドルの実効レートは下落
新年早々、米国長期金利上昇を追い風にドル円が116円台に乗っている。2021年11月24日高値(115円52銭)を上抜けたことで勢いがついた。年末でいったん市場参加者のポジションが軽くなるなか、新年最初のリスクテークとして「円売り」は入りやすいポジションであった。
市場参加者(あるいはアナリスト)の年初の予想が相当に「円安」に傾いていた点も円売りを後押しした格好といえる。ただ、多くの市場参加者(あるいはアナリスト)が「22年の米利上げ」を円安ドル高要因としている点は気がかりなところだ。
実際、FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を引き上げていく過程でいかなる資金フローがドル円を押し上げることになるのだろうか。
まず気になるのが「過去の利上げ局面」におけるドルのパフォーマンスだ。