優れたリーダーはどのように考え、行動しているのか?
リーダーにとって必要な資質や能力を高める、100の習慣を大公開!
本連載の著者はこれまでに国連や世界銀行グループ、政府、学校など様々な組織のリーダーへ、コーチングをおこなってきた、英国の超一流コーチ、ナイジェル・カンバーランド氏。
その経験から導き出した、リーダーとしての成功に近づくために欠かせない考え方や習慣、スキル、人間関係、行動をまとめたのが『ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣』です。本書の刊行を記念し、その内容の一部を特別公開します。
では、さっそく、よりよいリーダーになるための一歩を踏み出しましょう。
成功するリーダーはチームのやる気を引き出し、
成功しないリーダーは士気を下げる
チームメンバー全員が毎朝「今日も前向きな気持ちで働こう!」という意気込みで出勤してくる職場環境をつくるために、リーダーには高度なスキルが求められます。チームのモチベーションを保つのは簡単ではありません。なぜなら、やる気は様々な理由で簡単に失われるものだからです。
・自分にふさわしいと思っていた役職を逃し、昇進できなかった
・他のメンバーをひいきする上司から無視された
・好調な業績にもかかわらず、給料が上がらなかった
・プロジェクトを期限内に完了させたのに、評価されなかった
・休日手当が出なかった
・上司の態度が冷たく、ネガティブだった
・同じ仕事の繰り返しで、単調に感じられる
次に、メンバーがやる気を失ったときにリーダーやチームが受ける大きな損害を考えてみましょう。
・出社はするものの、チームに貢献しようとする意欲や活力がない。自ら動こうとせず、発言や協力をしなくなり、ネガティブな態度をとる。このようなメンバーがいると、職場の雰囲気が台無しになってしまう
・そのメンバーが退職したら、抜けた穴を埋めなければならない。後任者を採用し、教育して一人前に育てるためには多くの時間と労力が必要になる
・意欲を落とした部下は、年次の「360度フィードバック」でリーダーに低い評価をつけるかもしれない。退職時の面接でも、リーダーのことを酷評するかもしれない。部下が退職したことで、リーダーの人材定着率が悪化する
部下の持つ「7つの基本的欲求」を満たす
部下のやる気を引き出すために、次の7つの欲求を満たす行動を心がけてみましょう。
1.評価への欲求――常に部下の存在を認め、仕事ぶりやチームへの貢献に感謝する
2.変化への欲求――部下は毎日同じ単調な仕事をしたいとは思っていない。一度きりの仕事や新しいプロジェクトへの割り当て、出張、別のメンバーとの役割交換など、多様な仕事をする機会を与える
3.成長への欲求――責任や経験、スキルなどの面での部下の成長を支援する
4.人とのつながりへの欲求――メンバー間の交流や助け合いが多い協力的な職場環境をつくる。チームでの食事会や飲み会などの催しを計画する
5.貢献への欲求――自分の仕事が、会社のビジョンや目的、目標などの大きな枠組みのなかでどう位置づけられるかを部下が理解できるようにする
6.現状把握への欲求――部下は、状況を知らされずに細かな作業指示だけを与えられるのを嫌う。常に全体の計画を伝え、今後の見通しについても情報を共有すること
7.達成感への欲求――チームの一人ひとりが仕事に意味を見出し、自分が達成したことや創造したことに誇りを持てるようにする
(本稿は、ナイジェル・カンバーランド著、児島修訳『ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣』を抜粋、再構成したものです)
作家、リーダーシップ・コーチ
1967年、イギリスのヨーク生まれ。ケンブリッジ大学卒業。世界最大級の人材サービス会社Adeccoや世界3大ミシン糸メーカーCoats plcで財務部長を務めた。シルクロード・パートナーシップの共同創立者。ロンドンとドバイを拠点に、同社を通じて企業幹部を対象にリーダーシップ・コーチングやメンターリングをおこなう。ハーバード大学メディカル・スクール付属コーチング養成機関の創立研究員でもある。これまで香港・ドバイ・ブダペスト・サンチアゴ・上海・ドバイで暮らし働いた経験から人生で成功するヒントを得た。これまでに出版した8冊の著書は、ドイツ・中国・ポルトガル・スペイン・ロシア・チェコ・スロバキア・ルーマニア・ドバイをはじめとする中東諸国・ブラジルなどの各国で翻訳されている。著書に、シリーズ10万部突破の『成功者がしている100の習慣』『お金持ちがしている100の習慣』(ともに児島修訳、ダイヤモンド社)などがある。
英日翻訳者。
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。訳書に『成功者がしている100の習慣』『お金持ちがしている100の習慣』(ともにナイジェル・カンバーランド著)、『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』(モーガン・ハウセル著)、『DIEWITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著)(いずれもダイヤモンド社)など。