優れたリーダーはどのように考え、行動しているのか?
リーダーにとって必要な資質や能力を高める、100の習慣を大公開!
本連載の著者はこれまでに国連や世界銀行グループ、政府、学校など様々な組織のリーダーへ、コーチングをおこなってきた、英国の超一流コーチ、ナイジェル・カンバーランド氏。
その経験から導き出した、リーダーとしての成功に近づくために欠かせない考え方や習慣、スキル、人間関係、行動をまとめたのが『ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣』です。本書の刊行を記念し、その内容の一部を特別公開します。
では、さっそく、よりよいリーダーになるための一歩を踏み出しましょう。

ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣Photo: Adobe Stock

成功するリーダーは上の立場の人間をうまく操り、
成功しないリーダーは上司の言いなりになる

 リーダーにとって、管理するのは下の立場の人間だけではありません。自分の上司を管理することも、部下を管理するのと同じくらい重要なのです。リーダーが成功するためには、上司に次のようなことをうまく要求しなければならないケースが多くあります。

「自分の置かれた状況を理解し、サポートをしてほしい」
「提案に耳を傾け、アドバイスをしてほしい」
「必要なリソースや組織の賛同が得られるように手回ししてほしい」
「取引先に毅然とした態度をとる際や、重要な顧客に謝罪する際などに同行し、力になってほしい」
「社内で対立や誤解が起きたときに解決のために一肌脱いでほしい」
「休暇や自由な時間などを与えてほしい」

 これらを可能にするには、上司をうまく導いて、自分の考えや行動を理解してもらう必要があります。これは、相手が直属の上司であれ、会社のトップであれ、同じことです。

 かなり年上だったり、近づきにくい雰囲気を出していたりする上司の場合、思い通りに動いてもらおうとすることに抵抗を覚えるかもしれません。しかし研究結果によれば、その努力をする価値はあります。マッキンゼー・アンド・カンパニーが2016年に世界各地のCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)1200人を対象に行った調査は、ビジネスの成功のためには、チームよりも上司(や同じ立場の同僚)を管理することのほうが50%も重要であると結論づけています。

 この結果は、私がコーチングしているリーダーたちの考えとも一致しています。彼らの多くは、目標やKPI(重要業績評価指標)を達成するには、上司とうまく接する必要があるとよく知っています。

直接的にお願いしない

 上司は、自分のほうが目上で、部下の求めに従う必要はないと考えていて、あなたからの要求を快く思わないかもしれません。あなたの頼み方次第では、上司から「傲慢だ」「上司である私を尊重していない」などと見なされるかもしれません。そのため、次のような方法をうまく組み合わせて、間接的に上司を導くのが得策です。

・上司のことをよく理解する。どのようなことが上司を前向きな気持ちにさせるかを把握する
・断られそうなことを頼む場合は、入念に対策を練っておく
・すぐに同意を得ようとするのではなく、時間をかけて少しずつ自分の考えを理解してもらう
・あなたの考えを、上司自らが考えたことだと思うように仕向ける

 これらの方法がうまくいかない場合は、毅然とした強い態度で臨む必要があるかもしれません。その場合は、自分の主張や根拠となる事実がすべて正しいと確信してからにしましょう。

最適なタイミングを選ぶ

 自分のチームに対しては、リーダーが望む頻度で、指示や指導、仕事の割り振りができます。しかし、上司が相手の場合はそうはいきません。上司が何を考え、どのように行動するかをよく理解したうえで、最適なタイミングで要望を伝えましょう。

同じ立場のリーダーを尊重する

 自分と同じ立場のリーダーたちに対しては、押し付けがましくなったり、要求しすぎたりしないように気をつけましょう。上司と違い、あなたの意見に直接的に反対することはあまりないかもしれません。しかしその分、陰で「あの人は図々しい」などとあなたの悪いうわさをされてしまうかもしれないからです。

(本稿は、ナイジェル・カンバーランド著、児島修訳『ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣』を抜粋、再構成したものです)

ナイジェル・カンバーランド(Nigel Cumberland)
作家、リーダーシップ・コーチ
1967年、イギリスのヨーク生まれ。ケンブリッジ大学卒業。世界最大級の人材サービス会社Adeccoや世界3大ミシン糸メーカーCoats plcで財務部長を務めた。シルクロード・パートナーシップの共同創立者。ロンドンとドバイを拠点に、同社を通じて企業幹部を対象にリーダーシップ・コーチングやメンターリングをおこなう。ハーバード大学メディカル・スクール付属コーチング養成機関の創立研究員でもある。これまで香港・ドバイ・ブダペスト・サンチアゴ・上海・ドバイで暮らし働いた経験から人生で成功するヒントを得た。これまでに出版した8冊の著書は、ドイツ・中国・ポルトガル・スペイン・ロシア・チェコ・スロバキア・ルーマニア・ドバイをはじめとする中東諸国・ブラジルなどの各国で翻訳されている。著書に、シリーズ10万部突破の『成功者がしている100の習慣』『お金持ちがしている100の習慣』(ともに児島修訳、ダイヤモンド社)などがある。
児島 修(こじま・おさむ)
英日翻訳者。
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。訳書に『成功者がしている100の習慣』『お金持ちがしている100の習慣』(ともにナイジェル・カンバーランド著)、『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』(モーガン・ハウセル著)、『DIEWITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著)(いずれもダイヤモンド社)など。