韓国を代表する企業として、ありえない杜撰さ

 大型建築物の計画が宙に浮いて頓挫し、結局は白紙化されてしまうことは時として起こるものであるが、今回のケースについては、韓国を代表する企業の一つであるはずのロッテの対応があまりにもお粗末かつルーズであきれてしまう。「やるやる詐欺」のような有言不実行を重ね、さらに今回の騒動で従業員を失業の危機にさらしたということは、企業としての信頼を損ねる行いといえる。

 ネット上でも、ロッテに対して「恥ずべきことだ」「企業としては世界的な知名度もあるのに情けない」「イメージがさらに悪くなった」と厳しい意見が多い。また、ロッテデパート光復店の土地は釜山市との間で貸与契約が交わされているため、他企業がロッテに代わって現地で事業を行うことはできないが、「なんなら、建物はそのままで新世界(シンセゲ)デパートが営業してくれても歓迎だ。ロッテばかりよりも釜山に新世界がもう一店舗ぐらいあってもいいだろう」などという声まであった。

 釜山市は2030年のEXPO(国際博覧会)の開催地に名乗りを上げている。しかし、韓国第2の都市ではあるものの、若年層の人口流出や突出した高齢化によりソウルとの格差は開く一方である。釜山市としてもロッテとの対立を長引かせるのは得策ではなく、いち早く事態を打開したいところだろうが、これまでにも度重なる計画変更や、延期がされてきたのにもかかわらず、あと3年でタワーを完成させるというのも現実的とは思えない。数年遅れでタワーが建つのか、今後も同じ事態が繰り返されるのか、あるいは計画が白紙になってしまうのか……。6月下旬現在は通常営業をしているものの、再び釜山市との対立が起こるかもしれないという懸念は拭えない。まだまだ予断を許さない状況と言えそうだ。