米アップルという企業は、「新しい」という形容詞をつけられるほど新しいわけではないが、創業46年になる同社の現在の姿は、世界的な不況でその底力が実際に試される経験をしたことがないという点で十分に新しい。投資家は現在、そのことを織り込んでいない。確かに、アップルの株価は、ハイテクセクターの他の企業同様、過去数カ月は大きな打撃を受けた。だが、同社の年初来株価は依然ナスダックや同業他社のほとんどをアウトパフォームしており、過去12カ月の騰落率がプラス圏にとどまっている数少ない銘柄の一つだ。アップルの予想PER(株価収益率)は現在21倍と、S&P500種指数に対して38%のプレミアムとなっている。同指数に対するプレミアム幅は5年平均を29ポイント上回っており、時価総額1兆ドル(約135兆8000億円)規模の同業他社(マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、グーグルの親会社アルファベット)のいずれの幅よりも大きい。