インフレ率は高く、米連邦準備制度理事会(FRB)は金利を引き上げており、住宅市場は低迷し、ウォルマートのような大手小売業者は警戒信号を発している。しかし、景気の先行きに不吉な兆候があるにもかかわらず、多くの米国人は景気後退に向かう際に通常不足するものを持っている。大量の現金だ。新型コロナの流行中、複数回にわたる政府の救済措置と、旅行などのサービスに対する支出の大幅な低下により、米国の家計貯蓄が大きく上積みされた。その大半がまだ残っている。FRBのデータによると、第1四半期(1-3月)末時点で米国の家計が保有する現金および現金同等物は17兆9000億ドル(約2416兆円)で、昨年第4四半期(10-12月)末からやや増加し、2020年第1四半期末の13兆7000億ドルを大きく上回った。コロナ禍以前は、米国の家計で過去2年間のように現金が増加したことはなく、これはインフレ調整後でも同様だ。