1990年代後半から勢力を伸ばし、郊外での格安新築住宅分譲で成長した「パワービルダー」。昨年末、そのパワービルダー6社が今年11月に経営統合をすることで合意した。
統合するのは一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社。いずれも67年創立の飯田建設工業(現・一建設)から独立したOBたちが興した会社で、飯田一男・一建設会長やその関連会社が株式を一部保有しており、業界では「飯田グループ」と呼ばれてきた。
売上高を合算すると、およそ7800億円。業界最大手の積水ハウスの売上高の約半分の規模となる。一方、住宅供給数は約2万6000棟とダントツトップに躍り出る。つまり、それだけパワービルダーの価格は安いということだ。
すべてローンでまかなっても、家賃と同等か、それ以下で一戸建てを手に入れられる。これがパワービルダーの売り口上だ。不動産コンサルティング会社・さくら事務所の長嶋修会長は、「10年ほど前までは、安かろう悪かろうだったが、今や大手住宅メーカーと大差ない品質水準にまで成長してきている」と話す。
長引くデフレで若い世代の給与水準が切り下がるなか、パワービルダーは支持され、売上高を伸ばしてきたが、競争激化のため、利益の伸びは右肩上がりとはいかなかった。
そこで、スケールメリットを生かした用地買収や資材の共同購入などを行うことで、コストを削減し、利益を伸ばそうという狙いがある。
さらに、厳しい市場環境も統合を後押しした。