グラフィックデザイナーで米イリノイ州マコーム在住のカレン・ボードウィッツさん(61)はこの春、同州を半分近く縦断してやっとのことで銀行にたどりついた。米貯蓄国債を買うためにだ。株式市場が下落しインフレが猛威を振るう中、米国債の中でこれまで目立たない存在だった貯蓄債が突如、国内有数の人気投資先となっている。物価連動型の貯蓄債は「Iボンド」と呼ばれ、米政府の保証が付く。元本割れリスクが事実上ないにもかかわらず、利回りは現在、年率9.62%となっている。一部の投資家は、第2次世界大戦中の「バターン死の行進」に例えられるほどの、数週間に及ぶ煩雑な手続きに耐えてでも、Iボンドを購入したいと考えている。この電子国債を購入するには、米政府のウェブサイト「トレジャリーダイレクト・ドット・ガブ(TreasuryDirect.gov)」を訪れる必要がある。1口座につき年間最大1万ドル(約136万円)まで購入可能だ。大半の人は数分もあれば問題なく手続きが完了する。