円安・資源高で家計負担「7.3万円」増、日銀の理想と遠い2%物価目標“達成”石油元売り事業者への「ガソリン補助金」や低所得世帯への給付金など、政府がまとめた物価高対策(総合緊急対策)の、経済効果は限られたものになりそうだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

資源高と円安の同時進行
物価への「耐性」低下した日本

 ウクライナ危機などによるエネルギー価格などの高騰と20年ぶりの円安で、4月の消費者物価指数(2020年=100)は、生鮮食料品を除いた指数で前年同月比2.1%増と、消費増税の影響があった期間を除くと、約13年半ぶりに2%を超えた。

 数字上は日本銀行が掲げる「2%物価目標」に達した格好だが、物価上昇の状況は日銀が描いていた姿とは程遠い。

 一方で石油元売り事業者への「ガソリン補助金」や低所得世帯への給付金など、政府がまとめた物価高対策(総合緊急対策)の、経済効果は限られたものになりそうだ。

 筆者の試算では、資源高・円安がこのペースで進むと、家計の負担は2022年で1世帯当たり約7.3万円、低所得世帯(年収300万未満)は5.8万円の負担増になる。対策で低所得世帯は支出増分は解消されるが、全体では実質所得減少分を埋めることにならず、個人消費が下押しされることは避けられない。

 今回の資源高・円安では、資源輸入国としての脆弱性に加え、海外生産へのシフトや競争力低下で円安メリットは少なくなり、日本経済の物価上昇への「耐性」が弱くなっていることが浮き彫りになった。

 物価上昇に対しては中期的な視野に立った構造的な政策が必要だ。