「140円」視野のドル円相場、円安材料盛り沢山の中で“円高リスク”を総点検円安材料は依然として多い。貿易などに伴う実需、日米金利差、投機筋のポジションの3つの観点から考えるPhoto:JIJI

24年ぶりの円安だが
経験則でみた円安余地は小さい

 ドル高円安トレンドが続いている。ドル円は6月29日に137円と、1998年9月以来となる約24年ぶりの円安水準をつけた。

 しかし、2000年以降のドル円の値動きから考えると、さらなる円安の余地は小さい。2000年以降でドル円の1年間の値幅が最も大きいのは、2008年の約25円だ。仮に、今年のドル円の値幅が25円になれば、安値が113.47円なので、機械的に計算した高値は138.47円となる。

 また、ドル円の200日移動平均線からのかい離率は、最大で2013年5月の18%だ。今の200日移動平均が119円台のため、円安方向に18%かい離しても、141円程度となり、本稿執筆時点の水準である136円近辺からみても、5円程度の円安余地しかない。

円安方向の材料は多い
貿易赤字や日米金利差拡大

 しかし、円安材料は依然として多い。貿易などに伴う実需、日米金利差、投機筋のポジションの3つの観点から考えてみよう。

 貿易収支は、昨年8月から10カ月連続で赤字であり、過去1年の累計赤字は約8.6兆円だ。ドル買い円売りの実需は大きい。

 日米の金利差も拡大傾向が続く。米10年金利が年初の1.5%台から一時3.5%程度まで上昇する一方で、日銀が円10年金利を政策目標の0.25%以下に抑えているためだ。

 投機筋による円売りの余地も残る。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、6月21日時点の非商業部門(投機筋)による円売り越し額は54億ドルと、4月中旬の直近ピークの半分以下に過ぎない。

 円安材料が揃っているものの、経験則からは円安の余地は小さい。次ページ以降では、円高リスクを確認していこう。