米製薬大手メルクとリッジバック・バイオセラピューティクスが開発した新型コロナウイル感染症に対する経口抗ウイルス薬モルヌピラビル(販売名「ラゲブリオ」)が、一部の国で高い頻度で処方されている。より有効性の高いファイザー製治療薬と他の治療薬との併用投与についての安全性への懸念が、他の国々より重要視されているためだ。ファイザーの「パクスロビド」(日本では「パキロビッドパック」)の方が、新型コロナ患者の入院を不要にする効果がはるかに高いという研究結果が出ているにもかかわらず、オーストラリア、日本、イタリアではパクスロビドよりモルヌピラビルの方が多く処方されている。これは、米国などで医師や当局がモルヌピラビルを批判しているにもかかわらず、入院を回避することよりも薬物相互作用のリスクが低い方を選択していることを反映している。