米カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリア出身のブレア・フォーザッツさん(30)は今年、約10年ぶりに故郷に戻ってきた。サンフランシスコで賃貸物件を探し始めると、その家賃の高さに驚いた。ダウンタウンにある家賃が月8000ドル(約110万円)の物件は、勤め先のある金融街への近さや眺望の良さなど希望の大半を満たしていたが、あまりに広すぎ、家賃も想定より高かった。だが数週間後、家主は家賃を7000ドルに引き下げた。フォーザッツさんは2年間の賃貸契約を行い、5月に引っ越した。「この辺りにしては非常に安い」米国では昨年、主要都市の賃貸市場は記録的な高値に上昇したが、サンフランシスコは例外だ。家主や仲介業者はその理由として、新型コロナウイルス流行前の法外な家賃相場や値上げに対する同市の規制、そしてこの2年にIT(情報技術)系をはじめとする労働者が大量に流出していることなど複数の要因を挙げる。また、多くの飲食店や企業が営業を再開し、従業員が呼び戻される一方で、市内では犯罪がはびこっている。
サンフランシスコの賃貸事情、回復鈍いのはなぜ
原因が何であれ、家賃の下落は借り手にはプラス
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