中国が主導する国際金融機関のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が初めて中国国外に拠点を設ける。新型コロナウイルス感染抑制を目指す中国の厳格な渡航制限が背景にある。関係者によると、暫定拠点の有力候補に挙がっているのはアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビなど。早ければ今夏にオープンする可能性がある。AIIBの広報担当者は中国以外に拠点を設置する計画があることを認め、事業拡大のニーズに応えるためだと説明した。中国では政府の厳格なコロナ対策を受け、国際機関などが対応を迫られている。入国者に対しては最近まで長期間の隔離を求めており、外国からの人材登用や海外出張が難しくなっていた。中国政府は2015年、西側諸国が後ろ盾となっている国際通貨基金(IMF)や世界銀行に代わる選択肢としてAIIBを設立。総裁職は中国の元財政次官が務めている。中国の出資比率は26.6%で、重要な決定事項については実質的な拒否権を有している。