DJのディマ・カルマノフスキーさん(35)は最近のある週末、その夜2巡目の仕事を終え、別のクラブに向かう前に一息入れていた。「コロナ禍前でも、これほど忙しかったことはない」。ロシアの首都モスクワで人気のバー「Blanc」でカルマノフスキーさんはそう話した。ウクライナへの軍事侵攻が5カ月目に入った今、モスクワやロシア第2の都市サンクトペテルブルクでは、戦争の表立った気配があまり見られなくなっている。一方で、多くの命が奪われ、住民が家を追われている。ロシア最大級の都市にあるバーはあふれんばかりの客で賑わい、映画祭やジャズフェスティバルのチケットは完売している。モスクワ市内をパトロールする警官はアサルトライフル(突撃銃)で武装しているが、最近は抗議デモの鎮圧よりも、公共の場での飲酒に罰金を科すことに追われている。