成功は人を不幸にするのか?ジークムント・フロイトは、100年以上前に発表した論文で、この特異な苦悩の形態を最初に提唱した一人だ。それは、いくつかの事例を軸に構築された理論だった。仕事で昇進した後にうつ病になった患者や長年の恋人と結婚した時に精神が崩壊した患者、そしてフロイトの患者ではないが、(シェークスピアの戯曲「マクベス」に登場する)マクベス夫人だ。彼らは皆、フロイトの有名な言葉によれば、「成功によって破滅した」。昨今も、この逆説を示す事例はたくさんあり、大成功した人ほど幸せではないと簡単に思い込んでも無理はない。この考え方が広く行き渡っていることを受け、心理学者のチームが、1916年のフロイトの論文「精神分析作業で現れる若干の性格類型」で提示された仮説が実際に正しいかどうかを確かめようと思い立った。彼らには、この成功の特異な謎を解こうとした先達(せんだつ)よりも有利な点が一つあった。