ダイヤモンド決算報#製鉄Photo:123RF

コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は日本製鉄、住友金属鉱山などの「製鉄/金属製品」業界6社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

日本製鉄、JFEホールディングスが
前年同期比で3割超の大幅増収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製鉄/金属製品業界の6社。対象期間は22年1~3月期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・日本製鉄
 増収率:35.3%(四半期の売上収益1兆8664億円)
・住友金属鉱山
 増収率:24.2%(四半期の売上高3366億円)
・ミネベアミツミ
 増収率:15.4%(四半期の売上高2895億円)
・日立金属
 増収率:14.4%(四半期の売上収益2519億円)
・JFEホールディングス
 増収率:39.5%(四半期の売上収益1兆2678億円)
・神戸製鋼
 増収率:20.9%(四半期の売上高5978億円)

※神戸製鋼は収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、当社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。

 製鉄/金属製品の主要企業6社はいずれも前年同期比で2桁増収となった。中でも、日本製鉄とJFEホールディングスは前年同期比で3割超の大幅増収となっている。

 さらにこの2社は、原材料価格の高騰が深刻な中にもかかわらず、利益面でも過去15年ほどで最高益をたたき出した。2社の業績が好調な背景には、「強気の値上げ交渉」改革が存在していた。

 次ページ以降では、各社の増収率の推移を紹介するとともに、日本製鉄とJFEホールディングスの増収・増益要因について分析し、そのすごみを解説する。