営業、説明会、発表会……。社外プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、プレゼン資料の作成に多くの手間と時間をかけているにもかかわらず、思うような反応が得られずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで役立つのが、1000社を超える企業で採用された前田鎌利氏の著書『完全版 社外プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)です。本書では、「プレゼン資料」の作成ノウハウを、スライド実例を豊富に掲載しながら手取り足取り教えてくれます。読者からは「大事なプレゼンでOKを勝ち取ることができた」「プレゼンに対する苦手意識を克服できた」「効果的なプレゼン資料を短時間で作れるようになった」といった声が多数寄せられています。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、近年、「4:3」から「16:9」へとスライド・サイズの主流が変わってきたことなどについて解説しました。
「16:9」が主流になってきた
プレゼン資料をつくるうえで、最初の問題は「スライド・サイズ」の選択です。
これは、「状況次第で選択する」というのが正解となりますが、ここ数年でトレンドに大きな変化が生じています。5年くらい前までは、「営業プレゼンでは『4:3』、説明会プレゼンでは『16:9』を選択するのが基本」というトレンドでしたが、営業プレゼンでも「16:9」が主流になりつつあるのです(下図参照)。
かつて、「営業プレゼンは『4:3』が基本」だった最大の理由は、プレゼン資料を印刷してお客様に渡すことが多かったからです。A4サイズの紙に印刷したときに、サイズがぴったり合うのは「4:3」。「16:9」を印刷するとバランスが悪いから、「4:3」を使っていたわけです。
ところが、ここ数年でオンライン商談が激増したこともあり、プリントアウトしてお客様に渡すケースが激減しました。そこで、画面サイズが大きく表現力も豊かになる「16:9」が主流になってきているのです。
また、iPadなどのタブレットは「4:3」の画面サイズですから、プレゼン資料も「4:3」でつくることに合理性がありましたが、最近は、「16:9」の画面サイズのタブレットPCを営業プレゼンで使うケースが増えたという側面もあるでしょう。
このように、時流に合わせて、プレゼン資料のスタイルも変わっていきます。もちろん、お客様の要望や、自社の方針によって、「4:3」で営業プレゼンをつくる必要がある場合には、それに従うのが当然のことですが、「紙ゼロ」に移行する企業が増えつつあるなか、今後さらに「16:9」が主流へとシフトしていくのは間違いないと言えそうです。
説明会も「16:9」がベスト
また、説明会プレゼンでは、広い会場で大きなスクリーンに映し出すことが多いですから、画面サイズの大きい「16:9」のほうが、聴衆にインパクトを与えることができます。
しかも、最近はプロジェクターではなく、ハイビジョン対応モニターを利用するケースが増えてきています。ハイビジョン対応モニターは、「16:9」の横長ワイド画面に最適化されていますので、「4:3」のスライドでは両端に余白ができてしまうことがあります。それを避けるためにも、基本的には「16:9」でつくるほうがいいのです。
スライドに余計な要素は入れない
スライド全体を使ってダイナミックに表現するのが、「4:3」「16:9」いずれの場合にも共通する基本。聞き手にインパクトを与えるためには、文字や写真をできるだけ大きく見せたほうがいいからです。
ところが、下図のように、すべてのスライドに「会社のロゴ」や「飾り」などを入れている人を見かけることがあります。「会社名を記憶に残したい」「オシャレに見せたい」といった理由があるのでしょうが、私は、その必要はないと考えています。
もちろん、「会社のロゴ」を聞き手の印象に残すのは、企業ブランディングにとって重要なことです。しかし、「会社のロゴ」を表紙や最後のスライド(エンディング・スライドの次に入れる)に大きく表示することで、その目的は十分に達成することができます。
また、「オシャレに見せる」ことはプレゼンの目的ではありません。それよりも、プレゼンの内容を伝えることのほうがよほど重要。であれば、スライドに制約を加える要素は極力排除して、画面全体をダイナミックに使えるようにしたほうがいいはずです。それは、上図をご覧いただければ、一目瞭然だと思います。
とはいえ、全ページに企業ロゴが入ったスライドの使用を義務づけている会社もありますから、その場合には、その規定に従ってください。しかし、大画面表示をする説明会プレゼンでは、極力、余計な要素はカットして、全画面をダイナミックに使うことを心がけたほうがいいでしょう。
(本稿は、『完全版 社外プレゼンの資料作成術』より一部を抜粋・編集したものです)