営業、説明会、発表会……。社外プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、プレゼン資料の作成に多くの手間と時間をかけているにもかかわらず、思うような反応が得られずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで役立つのが、1000社を超える企業で採用された前田鎌利氏の著書『完全版 社外プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)です。本書では、「プレゼン資料」の作成ノウハウを、スライド実例を豊富に掲載しながら手取り足取り教えてくれます。読者からは「大事なプレゼンでOKを勝ち取ることができた」「プレゼンに対する苦手意識を克服できた」「効果的なプレゼン資料を短時間で作れるようになった」といった声が多数寄せられています。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、好業績の営業マンがひそかにやっている「驚きのプレゼン法」について解説します。
「説明」することよりも、「聞く」ことに徹する
「相手」の課題に合わせて、プレゼン資料を変える――。
これが社外プレゼン(営業プレゼン)を成功させるうえで非常に重要なポイントです。そのために大切なのは、お客様がどんな企業で、どんな課題を抱えているのかを「知る」ことです。
とはいえ、初回プレゼンの前に相手(お客様)のことを深く知るのは難しいものです。ですから、相手企業の事業内容をインターネットなどで調べるなどして、なるべく相手の実情に合わせたプレゼン資料を用意していくほかないでしょう。
そして、初回プレゼンで絶対に忘れてはならないのは、プレゼンをできるだけ手短かに終わらせることです。「自社の商品・サービス」について説明をしすぎない。もっと言えば、しゃべりすぎないことが大切なのです。
それよりも大事なのは、相手の話を「聞く」ことです。いかに相手に「話していただくか」が、プレゼンの成功を左右すると言っても過言ではありません。そのための時間をたっぷりと取るためにも、プレゼンは手短かに終える必要があるのです(15分の商談時間であれば、「プレゼン3分+質疑応答10分+意思決定2分」をイメージするといいしょう)。
相手の話をじっくりと「聞く」ことには、主に2つの効果があります。
第1に、相手は「自分の話をしっかりと聞いてくれた」という満足感を得ることができます。人は誰でも、相手の話をじっと聞くことには苦痛を感じます。それよりも、気持ちよく話していただくことで、こちらに好感をもってもらうこと大切。それが「次のアポイント」を得るための心理的な効果をもたらしてくれるのです。
第2に、相手の「課題」や「ニーズ」を深く知ることができるという効果があります。こちらが「説明しよう」とすればするほど、相手から聞き出すのが困難になります。それよりも、「聞く姿勢」をはっきりと見せることが大切。そして、相手の疑問や質問に対して、アペンディックスを示しながら的確に答えることによって、相手の信頼を勝ち得るとともに、さらに突っ込んだ話をしてもらえるような関係性を築くのです。
納得を勝ちとる「コンサル・プレゼン」とは?
そして、この「聞く」プロセスにおいて、私が強くお薦めしたいのが、「コンサルティング・プレゼンテーション(コンサル・プレゼン)」です。これは、私の造語ですが、質疑応答の内容をオンタイムで図解することによって、相手の思考(課題やニーズ)を視覚化・明確化することを指します。
下図は、紙カタログを使って営業をしている会社に、電子カタログへの切り替えをもちかける営業における「コンサル・プレゼン」を例示したものです。
ここでは、「御社は紙カタログの予算はどのくらいでしょうか?」という質問から始めて、相手企業の「経費削減」と「働き方改革」という課題・ニーズを聞き出しています。
そして、相手の反応を見ながら、「見積もり」や「社内アンケート」を提案して、「OK」という回答を引き出すわけです。
このときに大事なのは、単に口頭だけで相手とやりとりするのではなく、「おっしゃっているのは、こういうことですよね?」と、相手の発言内容をオンタイムで図解化していくことによって、相手の課題・ニーズを視覚化・明確化していくことです。
相手にとっては、一方的に営業トークを聞かされるのではなく、自分の課題をともに解決しようとしてくれているように感じられますし、自分の言ったことが図解されているわけですから、「結論」についても納得感・腹落ち感があります。
だからこそ、「見積もり」「社内アンケート」の提案を受け入れてくれたり、次回アポイントを入れることを認めてくれる可能性が格段に高まるのです。
しかも、相手の「課題」「ニーズ」がクリアになりましたから、次回の商談のためのプレゼン資料をどのように作ればよいかも明確になります。こうして、着実に「契約」へと歩を進めていくことができるのです。
なお、「コンサル・プレゼン」では、質疑応答をしながら、オンタイムで手書きで図解化していくわけですが、直接顔を合わせて商談をするリアル・ミーティングであれば、持参したノートや会議室のホワイトボードに描いていくといいでしょう。
一方、オンライン・ミーティングの場合には、下図のようにカメラの前でホワイトボードに描いていくのがお薦め。ホワイトボードは100円ショップで手軽に購入できますから、ぜひ常備していただきたいと思います。
(本稿は、『完全版 社外プレゼンの資料作成術』より一部を抜粋・編集したものです)