参議院選挙で圧勝して、国政選挙がない「黄金の3年」を手にしたとされる岸田政権。しかし、大きな政策を実行に移すつもりだったら、今すぐ動き出さなくては間に合わない。政権にとって「3年」は決して長くないのだ。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
参院選を大勝でクリアした岸田首相
「黄金の3年」をどう使う?
さる7月10日に行われた参議院選挙は、単独で改選過半数を超える63議席を獲得する自由民主党の大勝となった。野党側に勝てそうな要素が全く見えない選挙だったから、与党側の勝利に不思議の感はないが、岸田政権としては政権運営における大きな関門をくぐり抜けたと言っていいだろう。
今後、岸田文雄首相自身が衆議院を解散しないかぎり、向こう3年にわたって大きな国政選挙がない。政権が、選挙への影響を気にせずに意図する政策を実現しやすい環境だという意味で、この期間を「黄金の3年(間)」と呼ぶ向きもある。
本稿では、対象を経済政策と経済・資本市場に絞るが、この3年間に何が実現するだろうか。また、何をするべきなのだろうか。
確かにスケジュール的にも選挙結果という重い事実の上でも、岸田首相は大きな政策的フリーハンドを得た。この「政治的資本」をどう使うかは、ご本人にとってだけでなく、国民にとっても大きな問題だ。
アベノミクスの見直し
中でも金融緩和政策はどうなる?
岸田氏の「黄金の3年」における経済政策にあって、大きなテーマが二つあると筆者は考えている。そのうちの一つは「アベノミクス」、特にその中でも金融緩和政策をどう扱うかだ。