アベノミクスによって
大きく変わった中央銀行の姿
安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。この政治家が残した経済政策であるアベノミクスには当初から賛否両論が寄せられた。
最終的には歴史の評価を待つことになるのだろうが、一つはっきりと言えるのは、アベノミクスが中央銀行の姿を大きく変えてしまったことだ。
異次元緩和を担うなかで、「物価の番人」はいつしか、できないとしていた長期金利のコントロールに加えて株式市場の下支え、さらには意図するかどうかは別にして、主要国で突出した債務を膨らませた財政を安定化させる役割までをも抱え込んでいる。
安倍元首相の不在を機にアベノミクスからの政策転換の可能性もいわれるなかで、日銀自身が自らの「出口」をどう考え、膨れ上がった権能をどう返還するかが、新たな課題として浮上する。