壁を超えたら人生で一番幸せな20年が待っていると説く『80歳の壁』が話題になっている今、ぜひ参考にしたいのが、元会社員で『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』など数々のヒット作で悲喜こもごもの人生模様を描いてきた漫画家・弘兼憲史氏の著書『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)だ。弘兼氏のさまざまな経験・知見をもとに、死ぬまで上機嫌に人生を謳歌するコツを説いている。
現役世代も、いずれ訪れる70代、80代を見据えて生きることは有益だ。コロナ禍で「いつ死んでもおかしくない」という状況を目の当たりにして、どのように「今を生きる」かは、世代を問わず、誰にとっても大事な課題なのだ。人生には悩みもあれば、不満もあるが、それでも人生を楽しむには“考え方のコツ”が要る。本書には、そのヒントが満載だ。
※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』より一部を抜粋・編集したものです。

【漫画家・弘兼憲史が教える】お金がかかる、お金がかからない中高年にうってつけの趣味ベスト2作:弘兼憲史 「その日まで、いつもニコニコ、従わず」

共通の趣味を持つ仲間を大切にしたい

親友、異性の友人と並んで、高齢者が大事にしたいのは、共通の趣味を持つ仲間です。僕の場合、ゴルフを通じて交流する友人が何人かいます。

僕が会員になっているゴルフ倶楽部には、弁護士や医師、会社経営者などが多く、中には誰もが知っている「偉人」みたいな人もいます。業種が違っても、みんな仲がいい印象があります。ゴルフ場は、伝統的に一種の社交場としての側面を持っています。年会費を払い、ゴルフ倶楽部の会員になると、基本的に施設を自由に利用することができます。

プレーせず、知り合いとおしゃべりをしたり、仕事の打ち合わせをしたりと、レストランや喫茶店を利用する目的でゴルフ場に出入りする人も一定数います。喫茶店で顔を合わせた人とも気軽に会話をしますし、特に親しい人とは家族ぐるみでゴルフ大会を催すこともあります。

高齢者に打ってつけのスポーツ

ゴルフの魅力は、適度に運動不足を解消できるところにあります。僕のように、あえてスポーツジムで鍛えたいとは思わず、日ごろは買い物か犬の散歩くらいしか体を動かさない人にとって、ゴルフは継続しやすいスポーツの最右翼です。

ゴルフ場で18ホールを回れば、7~8kmは歩きます。プレーのレベルによっては10kmくらい歩くことにもなります。黙々と10km歩くのは、なかなかの苦痛ですが、プレーと会話を楽しみながら歩くと苦痛は感じません。

社交と健康維持を両立できる点で、ゴルフは高齢者に打ってつけのスポーツであると断言できます。唯一の難点は、お金がかかることでしょうか。お金がかからない趣味の集まりとして、僕が参加するのは麻雀です。

弘兼流 人生最後の趣味

年齢や職種を問わず、いろいろな人が知り合いのマンションに集まって麻雀を打つのは楽しいひとときです。我が家のお手伝いをしている80歳くらいのおばあちゃんがいるのですが、彼女も麻雀をします。

「明日と明後日、休んでいいでしょうか?」。あるとき、彼女がこういってきたので、興味本位で聞いてみました。「もちろんいいですけど、お休みをとってどうするんですか?」。すると、彼女はこう答えます。「麻雀仲間と連れ立って、伊豆下田の旅館に一泊して麻雀大会をやるんです」

素敵なイベントだと思いました。麻雀は頭を使って考えますし、相手の心理を読む力も必要です。指先を動かしながら会話もすれば、認知症の予防にも役立ちます。麻雀は人生最後の趣味になりそうなので、麻雀卓を囲む友人は大事にしたいと考えています。

※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。