Enable (イネーブル)という英単語。 辞書では、Enable+目的語+to doで、「○○が○○することを、可能にする」という意味だ。その造語的な名詞形の、Enabler(イネーブラー)とはまさに、様々な人や企業に対して、様々なことを可能にさせる。

 テレマティクスでのイネーブラーの例としては、「aha(アハ)」がある。

「aha」は、米大手カーオーディオグループ「HARMAN」が2010年9月に買収したベンチャーだ。現在は、「aha by HARMAN」と名乗る。

「aha」は「AM、FM、サテライトラジオ(衛星放送ラジオ)に次ぐ、第四のバンドという発想。結局はインターネットへの接続に対するサービスプロバイダーだ」(同事業部関係者)。

 昨年、ホンダ、アキュラ、スバルへの新車向け供給が決定。さらに今回のCESではクライスラー、ポルシェ、フォードへの供給が明らかになった。「今年中には全10件のOEM(自動車メーカー)向けが完成する」(同)と語る。

さらに不思議なことに、「aha」は、パイオニア、ケンウッド、アルパインなどOEM(自動車メーカー)にとってのティア1ともアフターマーケット向けで契約している。

 垂直統合型のサプライチェーンならば、「aha」の顧客はテイア1になる。しかし実際には、OEM、ティア1のそれぞれ、またはそれらと同時に事業を進めているのだ。

 また、「aha」の本体であるHARMANが、ハードウェアを売るケースもある。例えば、クライスラーとポルシェでは、HARMAN+「aha」。またスバルではアルパイン+「aha」となる。

CESの屋外展示場に出展した「aha」。屋内メイン会場からわざわざ訪れる人は少なかった。取材時、某自動車メーカー関係者らが情報収集していた Photo by Kenji Momota

 さらに、前回の本連載で紹介した、FordのSYNC Applinkに対しては、アプリプロバイダーのひとつとして参加している。

「aha」は、GM「Mylink」やトヨタ「entune」など、OEMとティア1の垂直統合型のテレマティクスとは全く違う。グループ企業内でハードウェアを持ってはいるが、事業全体で見るとこの「aha」も、イネーブラーの仲間である。