評価の高い県のSDGs活動
ポイントは地域の持続性につながるか

 鳥取県が1位になった理由について、田中社長は「鳥取県では、ポータルサイト『とっとりSDGs』を開設し、SDGsに関する基礎的な情報のほか、県内の取り組み、イベント情報などSDGsの推進に関して広く発信している。このような背景が3年連続1位という結果をもたらした」と分析する。また、「上位にランクインした都道府県の評価が急激に伸びている。これは、今回の調査結果での最大の特徴である」とも指摘する。

 2位の福島県では、「ふくしまSDGs推進プラットフォーム」を設置。SDGsを入り口とした県内の多様な主体による連携・協働の機会を創出し、県一丸となって取り組んでいるという背景がある。

 3位にランクインした宮崎県は、高校生・大学生・企業が共通の「指標と言葉」を用いて、持続可能な経済・社会の在り方について学び・考える「MIYAZAKI SDGs 10ヶ年プロジェクトを実施。また、4位の福井県は2021年5月、内閣府の「SDGs未来都市」に選定された。子ども・若者・子育て世代の育成を中心に活動を行っている。

 田中社長は、「これらの上位の県の発信内容に共通しているのは、CO2や環境汚染という課題ばかりではなく、子どもの教育や食文化など生活につながる活動内容を、積極的に取り入れていることである」と話す。

都市圏中心だったSDGs活動が
地方へ浸透し、順位が逆転

 同社の調査では、興味深いことに、居住している都道府県のSDGsへの取り組みの評価が都市圏以外で伸びていることが分かった。全国において評価指数が伸び、日本全体で評価されているという結果を得た。これは、昨年との大きな違いである。

 この要因について田中社長は、「これまでのSDGsは、国際間での援助や支援といったイメージが強かったのに対して、現在は自分たちの生活に直結するSDGsに貢献しようと身近に捉えるようになった」と指摘する。

「地域に対するSDGsへの取り組みが変わってきており、今後はますます評価も伸びていくと考えられる。まさに、国民の意識の変化が表れたといえるだろう」
 
 今回のランキングは、SDGsの取り組みは若者だけではなく高齢者も高い関心をもっていること、そして、SDGsの普及が都会から地方へと進んでいるという非常に分かりやすい結果であった。

 田中社長は、「もともとのMDGs(Millennium Development Goals)のように、第三国を支援しようという目標とは違い、日本ではSDGsを倫理観のように考えている」と結論づけた。

(フリーライター 西嶋治美)