開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。

ひとりっ子親「勝手に抱えている1つの罪悪感」Photo: Adobe Stock

「親の理想」を子どもに押しつけていませんか?

 子どもが10歳くらいになると、「学校選び」や「勉強法」について、親はより細かく考えるようになります。

「元気な子に育ってほしい」「できれば優秀な成績を挙げてほしい」と漠然としていた願望が、「どういう中学校へ進んで、どんな教育を受けてほしいのか」という具体的なプランに変わっていきます。

 この段階の親の迷いに対し正解を言ってしまえば、「子どもの個性を大事にする」ということに尽きます。

 ところが、ひとりっ子の親はそれができず、自分の理想を子どもに押しつけてしまうことが多いのです。

ひとりっ子の親が勝手に抱いてしまう罪悪感

 親の理想を子どもに押しつけてしまう原因の1つに、兄弟がいないことについて親が勝手に抱いている罪悪感があります。

 子どもはそんなことはちっとも思っていないのに、「ひとりっ子でかわいそう」と決めつけ、その罪滅ぼしに、なんでもかんでも理想に近づけようと肩肘張ってしまうわけです。

 多くの親が、識者と呼ばれる人たちが書いた教育本をたくさん買い求め、そこにある理想論ばかりをピックアップして、「こうしてあげなきゃ」と頑張ります。

 ただ、そこにはわが子の目線がありません。「子どもに善かれ」と思ってやっているのに、いつの間にか自分たちが主役になっているのです。

 これは、ひとりっ子にとって迷惑な話です。

迷ったときこそ、子どもの長所短所を観察する

 大事なのは、親の理想ではなく、子どもの現実です。焦ることなくわが子の個性を見ながら、適した道を選んでいきましょう。

 そのときの判断ポイントを正しく得るためには、「観察」が必要です。

 兄や姉という比較対象がないひとりっ子であれば、周囲の子どもたちという現実的な比較対象をたくさん見てください。

 そして、客観的にわが子の長所と短所を把握し、最も成長しやすい環境に置いてあげましょう。

(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)