開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。
子どもにお金をかけるのは間違っていない
高瀬志帆さんの漫画『二月の勝者』は、大学受験改革を受けて激変する中学受験の世界をリアルに描き、大きな話題となっています。
その影響もあってか、中学受験を「課金ゲーム」と表現する言葉が一人歩きしているようです。
しかし、親が子どもにお金をかけるのは、ちっとも間違ったことではないと私は思っています。
子どもに中学受験をさせるときに、親は中学の3年間だけを見ているわけではなく、その先の高校、大学、さらには就職というところまでを考えているはずです。
ひとりっ子の親のなかには、いずれ海外の大学に通わせることを見据えているケースも少なくありません。ひとりっ子なら経済的にも可能だからです。これは、子どもにとってアドバンテージとなることは間違いありません。
いろいろ体験させながら、本人が関心を持てる習い事を継続する
このように、ひとりっ子に対して親は大いなる可能性を見据えて集中投資することになりますが、そのお金をどこにどうかけるかは考える必要があります。
やたらとあれこれやってみても、なにも得られないのでは、まさにムダ金です。そういう意味では、子育て自体が課金ゲームと言えるかもしれません。
しかしながら、わが子に「なにが合うか合わないか」について、最初から親が見極めるのは困難です。だから、限られた予算の中で親の願望に基づいた習い事をさせてしまい、それは子どもにとって苦痛でしかなかったという失敗がまま起きます。
その点、ひとりっ子なら、そもそもの予算やチャンスの幅が違います。多くのお金をかけていろいろやらせてみて、子どもの反応を見ることができます。
もし、「そろばんはどうしても嫌い」「ピアノは全然上手くいかない」というならそれはやめて、逆に「英語は好き」「サッカーは面白い」というように、子どもの反応が良い習い事にお金を回してあげることで、子どもを上手に伸ばしていくことが可能になります。
実は、ひとりっ子の場合、親がそれをやってあげないとまずいのです。
ひとりっ子には、意識的にチャレンジの機会を与える
兄や姉がいれば、一緒に遊ばせてもらったり、学んでいるところを見たりして、下の子も疑似体験ができます。
たとえば、お姉ちゃんがバレエを習っていたら、家で練習する姿を見たり、発表会に連れて行ってもらったりという機会が持てます。
自分もやりたいと思うかどうかは別として、そうした接点は与えられています。
ところが、ひとりっ子の場合、親が行動しないと、子どもはそもそもバレエに興味を持つ機会を持てません。
いろいろ経験させてあげない限り、自分にその能力があったとしても、チャレンジしようという発想自体が生まれません。
ですので、ひとりっ子には、躊躇なくお金をかけてあげましょう。少なくとも、4年生くらいまではいろいろやらせてみながら合ったものを探し、5年生から6年生の2年間を、そこに集中させていくくらいでいいのではないかと思います。
(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)