開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。
男の子と女の子では学力の伸ばし方が違う
男の子と女の子では「伸ばし方」が違います。とくに、中学受験を目指しているような小学生の段階では、明らかに違います。
男の子より女の子のほうが圧倒的に精神年齢が高く、自立しています。女の子は小学生の段階で早くも周囲への気配りを覚えていく一方で、男の子は落ち着きがなく集中力にも欠けます。
かつてVAMOSに、男の子と女の子の双子が在籍していたことがあります。2人とも学業はとても優秀なのですが、その精神年齢の差たるや驚くべきものがありました。
見た目もそっくりで、同じ環境で育っているのに、こうも違うものかと、彼らの両親と半ば感心しながら笑い話をしたものです。
男の子は母親、女の子は父親の影響を受けやすい
こうした性差は、ひとりっ子にもあてはまります。ひとりっ子を育てるにあたっては、「男女の性差」と、「ひとりっ子ならではの特徴」の両方を見ていくことで、より伸びしろを大きくできるのです。
なお、その子の能力を引き出していく過程において、男の子は母親との、女の子は父親との関係が強く影響を与えます。
そのため、親を100%独り占めできているひとりっ子は、より性差の影響が出やすいとも言えるのです。
「ひとりっ子の女の子」は精神年齢が高い
女の子の場合、男の子より精神年齢が高く、ひとりっ子であっても自分の世界観を構築しようとします。
親子で仲良くしながらも、自分の世界を模索しているので、母親とも父親とも共依存になるようなことはめったにありません。
大人になってからの「母娘共依存」が最近注目されていますが、自立しようともがいている子どもの頃は、むしろ、親よりも友だちのほうに依存していくのが女の子です。
女の子の可能性にフタをしがちな父親
このように、大人っぽい賢さを持ち合わせているひとりっ子の女の子を伸ばすには、父親の度量が決め手になります。
ジェンダーフリーの時代、言うまでもなく女性の社会進出機会は増えていきます。そうした中にあって、親が男女平等の価値観でその子に期待してあげるのか、それとも「女の子なんだから無理しなくていい」と、枠にはめてしまうのかが問われるのです。
私の目から見ても、今は、伝統的な女性教育の枠を超えている優秀な女の子が増えています。そんな女の子を世界に通用する人間に育てようと教育している家庭も増えています。
ところが、ゆくゆくは東大に入れるような子でも、親が「女の子なら、大学は慶應や上智あたりがいいんじゃないか」と決めてしまうケースが未だにあります。
あるいは、最初から「ほどほどで」と、競争させることを避け無難な選択を取らせがちです。
そして、そういう判断を下すのは、父親であることが多いのです。もちろん、それはわが子を思ってのことです。
ただ、親の世代が考える女の子の幸せのあり方と、子どもの幸せの定義がずれてしまっているとしたら残念なことです。
「庇護」ではなく「共感」で女の子の学力は伸びる
一方で、ものすごく伸びて超難関校を突破していくような女の子は、父親が「視野の広い教育熱心さ」を持っています。
女の子は男の子よりも器用ですから、目の前の課題に上手く対応していける能力を持っています。だから、親が教育熱心に毎日の学習をサポートしていれば目先の偏差値は上がります。
しかし、それだけではなく、将来どうあってほしいかを考えた上で、長い目で見ていく教育熱心さが必要なのです。
言ってみれば、女の子に対して父親が庇護力を発揮するだけでなく、先々の人生を見据えた「共感力」を持って応援してあげると、それを独り占めできているひとりっ子の場合、大化けに近い伸び方をします。
(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)