最近まで暗号通貨(仮想通貨)業界は金融界のスターだった。機関投資家や個人投資家が大量の資金を注ぎ込む中、急成長の恩恵にあずかろうと優秀な人材が殺到していた。だが現在、暗号通貨の急落で業界の運命はほぼ一夜にして暗転し、関連企業は人員削減を余儀なくされている。コインベース・グローバルやジェミニ・トラストなどの米大手暗号通貨取引所は、リスクやコンプライアンス部門などで人員削減に踏み切っている。金融サービス機関では、景気減速局面でコンプライアンス部門における人員削減は珍しくないが、これはコンプライアンスが収益部門ではなく、コスト部門だと考えられているためだ。コンプライアンス専門家は、米国の規制当局が引き続き暗号通貨業界に監視の目を強めているため、関連企業がコンプライアンス部門の人員削減に踏み切れば、規制や風評に関するリスクを抱えることになると指摘する。