新型コロナウイルスが最初に全米を席巻したとき、何百校もの大学の学長は学生を自宅待機させる一方で、人影のないキャンパスを眺め、どうやって必要経費を賄うべきかと思案していた。ノースイースタン大学のジョセフ・アウン学長(69)はこれをチャンスと捉えた。同氏は2020年5月15日、6人の幹部を自分のオフィスに呼び、「多くの大学がこれから難題に直面するだろう」と告げたという。「合併や提携を検討し始める時期かもしれない」それから数週間かけて、同大学はM&A(合併・買収)専門チームを立ち上げ、財政難に陥った米国内外の数十校の大学を洗い出すとともに、その価値を査定し、財務状況を入念に調査した。アウン氏の指示は6月30日に実を結んだ。東海岸のボストンにあるノースイースタン大学は、西海岸のシリコンバレー近くに約55万平方メートルのキャンパスを持ち、170年の歴史がある名門女子大学ミルズ・カレッジを買収した。