ボリス・ジョンソン氏が今月、英与党保守党の党首を渋々辞任すると表明し、最終的には首相を辞任することで、英国と保守党は出直しの機会を得ている。ジョンソン氏の後継争いは終盤に入っているが、保守党はこの機会を部分的にしかつかんでいない。同党の議員は20日、後継候補を2週間前の8人から最後の2人に絞り込んだ。何十万人にも上る英全土の登録党員が郵便による決選投票で、リシ・スナク前財務相かリズ・トラス外相のいずれかを後継に選ぶことになる。勝者は9月初めに発表され、新首相に就く。党の大幅な刷新が必要であることは確かだ。ジョンソン氏は2019年12月、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を公約に掲げて総選挙に臨み、保守党は下院で全野党を80議席ほど上回る過半数を得る歴史的な勝利を収めた。その上で、同氏はEU離脱を実現した。しかし、ジョンソン政権下で英経済は悪化した。エネルギー価格の高騰により、インフレ率は9.4%と40年ぶりの高水準に達している。英政府は、ブレグジット後の規制緩和を通じて投資を活発化させることができていない。世論調査では、保守党が経済問題をめぐり有権者の支持を失っていることが示されている。一連のスキャンダルで決定的な打撃を受ける以前に、ジョンソン氏はこうした実績により痛手を被っていた。