「反撃能力」保有の必要性
ウクライナ侵攻で現実味
参院選勝利で政権安定の基盤を得た岸田文雄首相にとって重要課題の一つは安全保障政策の強化だ。
年末には国家安全保障戦略の改定やそれに基づく次期防衛計画大綱などの策定が予定されており、とりわけ日本を攻撃しようとする国への「反撃能力」の保有は喫緊の課題だ。
自民党安全保障調査会(会長・小野寺五典元防衛相)が従来、議論してきた「敵基地攻撃能力」という言い方を改称し、日本を攻撃しよう思わせないための抑止力として、敵のミサイル基地や「指揮統制機能」への「反撃能力」保有を4月に提言したが、もともとは、故安倍元首相が「打撃力」という言い方で提唱してきた。
安倍元首相が凶弾に倒れた今、その言葉は“遺言”となったが、ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにする中、「反撃能力」の必要性は一気に現実味を帯びるものだ。