――筆者のウォルター・ラッセル・ミードは「グローバルビュー」欄担当コラムニスト ***  呼び方はどうあれ、便宜上「イラン核合意」として知られる包括的共同行動計画、略してJCPOA、は窮地に陥っている。イランが核開発を一時的に制限するのと引き換えに対イラン経済制裁を解除するという合意にバラク・オバマ元米大統領が署名した後、米国はドナルド・トランプ前大統領の下でこの合意から離脱した。それ以来、核合意は外交における「シュレディンガーの猫」のようだ。箱に封印され、死んでいるわけでも生きているわけでもなく、何らかの不確定な状態にある。