呼び方はどうあれ、便宜上「イラン核合意」として知られる包括的共同行動計画、略してJCPOA、は窮地に陥っている。イランが核開発を一時的に制限するのと引き換えに対イラン経済制裁を解除するという合意にバラク・オバマ元米大統領が署名した後、米国はドナルド・トランプ前大統領の下でこの合意から離脱した。それ以来、核合意は外交における「シュレディンガーの猫」のようだ。箱に封印され、死んでいるわけでも生きているわけでもなく、何らかの不確定な状態にある。しかし最近では、その箱から出る悪臭はますます無視できなくなってきている。イランが核兵器製造の入り口に近づくにつれ、物語は終わりに向かっているようだ。アントニー・ブリンケン米国務長官は昨年12月、「イランが実質的に、交渉で協力を渋ると同時に核開発計画を前進させることをわれわれは許さない」と記者団に語った。それでもイランは姿勢を変えず、それ以降、喜々として時間稼ぎを図りながら核開発計画を進めている。英情報機関のトップは先週、イランが核合意復帰に向けた米国の条件を拒否することを決めたと記者団に明らかにした。もっとも、交渉を長引かせることには満足しているという。国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は先週、イランの核開発計画は「急速に進展している」と述べた。
【オピニオン】イラン核合意の突然死
中ロが米国のパワーの揺らぎを見つける中、バイデン大統領に試練の時
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