国内初のコロナ飲み薬「ゾコーバ」
緊急承認が見送られたのはなぜ?
新型コロナウイルスの急速な感染再拡大、いわゆる第7波を迎える中、7月20日にショッキングなニュースが舞い込んだ。厚生労働省が、コロナ治療経口薬である塩野義製薬の「ゾコーバ」の承認を見送り、継続審議とする判断に至ったのだ。
国内で現在、承認済みのコロナ治療薬は8種類(下の表参照)。特効薬はなく、医療現場では患者の症状に応じて、今使える薬をなんとか使い分けしている状況だ。コロナの飲み薬は海外の2つの薬がすでに使用されているが、ゾコーバが承認されれば国内の製薬企業が開発した飲み薬としては初となる。
どんな疾患でも、治療薬の種類はある程度多い方が望ましい。同じ薬であっても、患者によっては効くことも効かないこともあるし、一度効いた薬でも長く服用していると徐々に効果が落ちることもあるからだ。
待望の新薬ゾコーバの承認は今回、なぜ見送られたのか。複数の要因が複雑に絡むためシンプルに語ることはなかなか難しい。が、(1)新薬開発の難しさ(2)緊急承認制度、2つのポイントに絞った上で、塩野義製薬への「プレッシャー」や業績への影響について考えていく。